[うつ病を知る]うつ病の症状と「鬱っぽい」との違い

[うつ病を知る]うつ病の症状と「鬱っぽい」との違い

耐え難い抑うつが長期間続くのが「うつ病」の特徴

 現在、日本でうつに悩んでいる方は16〜17人に1人とも言われています。もはや「国民病」と言っても良いほどの規模で拡大が進んでいますが、では、どんな病気かというとあまりよく知られていません。実際、私自身も自分が罹患するまでは「気分が落ち込みやる気が出ない病気」程度にしか認識していませんでした。それはそれで間違いではないのですが、正しい理解とは言えません。そこで、今回はうつ病について、その症状を中心に詳しくお話ししましょう。

うつ病の影響は心身両面に表れる可能性がある

 先ほどの「気分が落ち込みやる気が出ない」という説明は、何が足りなかったのでしょうか。実は、これではうつ病の断片的な面しか表していないのです。書籍『六番町メンタルクリニック所長 野村総一郎監修 うつ病のことが正しくわかる本』(西東社 2016年発行)によれば、うつ病は「心と体の両方に症状があらわれる」といい、また心の症状はさらに3つの側面にわけることができるといわれています。

●西東社『六番町メンタルクリニック所長 野村総一郎監修 うつ病のことが正しくわかる本』(2016年発行)

 西東社サイトアドレス
 https://www.seitosha.co.jp

 心の症状のひとつ目は「感情に表れる変化」です。気分が落ち込んだり、虚しさや絶望感が心を支配するなど【抑うつ】と呼ばれる状態に陥ってしまいます。二つ目は「意欲・行動に表れる変化」です。生きるエネルギーが枯渇し、何をするにも意欲が湧かない、行動できない、という状態です。三つ目が「思考に表れる変化」です。頭がボーッとして深く考えられない、集中できないという症状の他、マイナス思考に陥ってしまうといった変化が起こります。
 体に表れる変化では、頭痛や吐き気など風邪に似た症状から肩こりや腰痛、睡眠障害などがあります。また心の症状を伴わず身体的症状だけが先に出ることもあります。実際のうつ病では、これらの心理的・身体的な症状が様々に組み合わさり、強弱を持って表れることになるのです。

短期間かつ気分転換可能であれば「うつ気分」 !?

 うつ病と似た症状を表す言葉に「鬱っぽい」「うつ状態」などがあります。これらは文字通り「状態」を表す言葉であり、病気としてのうつ病とは異なります。ではどこまでがうつ気分でどこからがうつ病なのでしょうか? 判断基準のひとつは、うつ気分が続く期間です。

うつ病では耐え難いほどの強い憂うつ感(抑うつ感)が2週間以上も長く続くのが特徴です。このため仕事や日常生活などに支障を来たすことも多くなります。

出典:西東社『六番町メンタルクリニック所長 野村総一郎監修 うつ病のことが正しくわかる本』(2016年発行)

また、憂うつ感の程度や気分転換の効果にも違いがあります。例えば、うつ病では好きなことや本来楽しいことをしても楽しいと感じることがなくなってしまいます。対して、うつ気分であればストレスが発散されることにより、気分が回復することが多いでしょう。

 もしあなたやあなたの身近な人が「長く憂うつ感を抱えている」「楽しいはずのことが楽しめていない」のであれば、一度専門の医療機関を受信して見ることをおすすめします。

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