うつ病の改善にカウンセリングは必要か?

うつ病の改善にカウンセリングは必要か?

カウンセリングの最大のメリットは、予兆と対処法を見つけられたこと

 うつの話をすると「カウンセリングを受けたら?」とアドバイスされることがあります。しかし、私は「カウンセリングが絶対に必要だ」とは思いません。かといってカウンセリングが無駄と言っているわけではありません。「できればカウンセリングは受けたほうが良い」と断言できます。今日はその理由について、実体験を通してお話ししましょう。

カウンセリングではうつ病は治らない!?

 そもそも多くの方が「カウンセリングに行けばうつ病を治してもらえる」と勘違いをしがちです。私もカウンセリングを受ける前までは、そう思っていました。しかし実際に受けてみると、カウンセリングは「何かをしてもらう」ためのものではありませんでした。カウンセラーは「何かをしなさい」と言うことはありませんし、「こうすれば良くなる」と言うこともほとんどありません。ですからカウンセリングさえ行けば万事解決する、という訳ではありません。では、カウンセリングとは何をする場か? 最大の目的は「客観的な第三者に自分の話をする」ことだと、私は思います。

 再発防止のためのカウンセリングを受け始めた当初、私はカウンセラーからうつ病を発症した前後のことを良く聞かれました。以下はその一例です。


・うつ病が発症した時の様子
・その前に何があったのか
・当時はどんな風に思っていたのか
・なぜそう思っていたのか
・発症した後はどんな様子だったのか
・その時どう思っていたのか      など


それぞれの質問に私が答えて、カウンセラーがその答えに対して質問して、私がまた答えて。こうして時間が過ぎていきます。そして、何度かカウンセリングを行ううちにだんだんと「自分が思ううつ病の原因のようなもの」「心身が発するSOSのサイン」などがわかるようになってきたのです。特に、SOSのサインを把握できたのはとても大きな収穫でした。例えば、私の場合は精神的な負担が高まるとなぜか足首が痛くなります(実はうつ発症前に足首痛で病院にも行ったことがあります。当時は原因不明だったのですが、今思えばうつ病の予兆だったのでしょう……)。そのため、今は足首が痛くなったら可能な限り休みを取ったり、柔軟体操をするなどして、負担の軽減を行うようにしています。おかげで「あ、来そうだな」という時点で対応ができるようになり、大きくズドーンと沈み込むような状態は非常に少なくなりました。また、極端な話、カウンセラーは自分の生活とは関係のない人です。実はこの「関係がない」という点も非常に重要だと、カウンセリングを受けて実感しました。もし家族や友人に話をする場合、どうしても配慮や遠慮が生まれます。そのため「これは言わないほうがいいかな」や「流石に言えないな」ということが増えてきてしまいます。しかし、相手が自分と関係のない第三者であれば、何を言うにも気を使う必要がありません。全てを正直に話すことができ、客観的に自分を見直すにはとても役立ちました。

カウンセリングは金銭的負担が大きい「自由診療」

 個人的な意見ではカウンセリングを受けていて良かった、と思っています。では、なぜ必ずしも必要だとは思わないのか? それは金銭的負担が非常に大きいからです。
 カウンセラーによるカウンセリングは医師による診察とは異なり自由診療扱いです。そのため、高い費用がかかりがち。私が住んでいる地域でカウンセリングルームなどの金額を調べてみるとだいたい50〜60分で1〜2万円が相場でしたので、1万円と仮定しても月2回通った場合【年間24万円】ほどかかる計算になってしまいます。ましてや、病気によって働けない状態であればすでに家計は逼迫し始めているでしょうから、とても払い続けられる金額ではないと感じる方もいるでしょう。私の場合は発症時にフリーランスで働いていたため休職制度などもなく、みるみる貯金が溶けていきました。そのため、カウンセリングの回数を月1回に減らすなどして、今まで続けてきています。

 カウンセリングについて最初に「できれば」と言ったのは、良さがある反面負担も大きいからなのです。治療のためとはいえ家計が逼迫すれば、精神的な焦りや不安が増して病状が悪化するかもしれません。仕事への復帰や生活面での復調という面ではデメリットになりかねないのです。また、医師と相談し、適切な治療を受けるだけでも十分という方もいるでしょう。病状や家計、貯蓄などを考慮した上でカウンセリングを受けることが最も大切かと思います。月並みな言葉ではありますが、「ご利用は計画的に」です。

Follow me!

実体験カテゴリの最新記事

PAGE TOP